ROCK Pi Sを買ってみた

ROCK Pi S

昨年末頃に、ADS-B受信用に使っていたOrange Pi Zero Plusが停止(死亡?)したため新しくOrangePi Zero 2を購入したのだが、これがどうもよろしくない。OSとして利用するつもりだったarmbianはまだ使い物にならない段階でしかもあまり開発が活発ではない。orangepi.orgで提供されているOSは2020年11月から更新がなく、USBの挙動がなんかヘン。そして安定稼働しない。温度が上がったわけでもメモリやストレージを使い果たしたわけでもないのだが暫く動かしてるとハングアップする。そんな感じ。長期稼働を目的としてるのに信用できない。
そこでOrangePi Zero 2とは別のSBCを購入することに。今度はROCK Pi S。理由は安いから。もちろんスペックは低い。こちらはarmbianで「サポート」のステータスなのでOSが使い物にならないということはない(筈)。

2021年5月2日追記: Orange Pi Zero 2でUSBがおかしかったのは接続したUSBデバイスのせいだったみたい。

Rock Pi S 1
ROCK Pi Sについてはこちら。ROCK Pi Sはバリアントが多く、メモリ容量、Wi-Fi/Bluetoothの有り無しの他にPoEの有無、SLC NANDの有無とNANDの容量の違いがある。NANDはSLCということになっている。これは「なんちゃってSLC」かもしれないが不明。
今回の購入はALLNET Chinaから。ROCK Pi S本体はSLC NANDは無しで512MBメモリ+Wi-Fi/Bluetoothのものを選択。これがUS$13.99。専用金属ケースUS$4.99。送料がUS$7.30。安いようでこれだけで3,000円弱なので安くはない印象。China Postの普通便にしては送料が高すぎ。
注文から出荷までは早かった。しかし、深圳から出荷され同じ深圳にある国際交換局に届くまで複数の仕分けセンターを行ったり来たりを2週間。待ちくたびれた頃にようやく深圳の国際交換局に届いたかと思ったらその日の夜には日本に到着。翌朝に通関。通関が日曜だったのでその日の配達はなかったが翌日(今日)配達された。普通は国際交換局に届いてから飛行機に乗るまでが長いので珍しいかなと。仮に、集荷の翌日に国際交換局に行ってたら3泊4日、夜中通関で当日配送だったら2泊3日もありえたかもなので深圳内の無駄な2週間が残念。
で、あっちこっちで仕分けをくぐり抜けた割には潰れもなく無事到着。
上の画像は、左の白いのが届いたパッケージ。右は大きさ比較用のDVD(実際はBD-R)

Rock Pi S 2
白いビニールの中はダンボールで、緩衝材として白い繭のような発泡材が申し訳程度に入っている。スカスカなので潰れなかったのが奇跡。

Rock Pi S 3
ROCK Pi Sの基板本体は樹脂ケースに入っていた。NanoPiやOrangePiは袋だったので「やるなぁ」という感じ。右はROCK Pi S用のケース。

Rock Pi S 4
それぞれ開けてみた。右のケースの方は中にネジなどが入っていた。

Rock Pi S 5
ROCK Pi Sのチップの文字が浮かび上がるように斜めから撮ってみた。
一番大きなチップがSoCでRockchip RK3308。その下のチップがXi'an UniIC Semiconductorsのメモリ。このメモリは変わることがあるみたい。
SoCの左下方向にType-CのUSBポートがあって指紋の一部のようなものが写っているが、これは「がとらぼ」の中の人が触ったのではなく最初から。梱包した人は素手なのかしら?汚いし気持ち悪いのでやめていただきたいところ。

Rock Pi S 6
ケースの内側に基板を置いて四隅をネジ止め。今回はハット類は買ってないのでスペーサーは使わない。黒いネジは7本入ってたけどどういうことかしら?
このケースは全体的に粉体塗装っぽいザラザラ仕上げになっているが、内側のLANコネクタ近くはハケで塗ったみたいにテカってる。

Rock Pi S 7
RK3308はあまり熱が出ない?冷却は一切考慮されていないようで、ヒートシンクは付属しないしオプションも用意されていない。そもそも、ケース内部に空気を流すことも想定されていない造りなのでヒートシンクや冷却ファンを付けても熱をケース外に逃す方法が無い。それでも何も無しはいくらなんでもあんまりですと思ったので大きさがSoCとほぼ同じなヒートシンクを熱伝導テープで貼り付けた。(たぶん意味はない)
IPX-SMAケーブルは付属しないが、余ったのがあったので取り付けた。ケース側にはアンテナ用の穴が開いているのでそこに端子を取り付けた。

Rock Pi S 8
例によってSMA端子にはダミーロードを取り付ける。

Rock Pi S 9
RJ45とUSB Type-Aの端子がある側。端子のツラはぴったり。さすが専用ケース。

Rock Pi S 10
ダミーロードの代わりに2.4GHzのWi-Fi用を取り付けてみた。(使わないけど)
ALLNET Chinaでは2.4GHzと5.8GHz(中国のWi-Fi)のハイブリッド外付けアンテナとIPX-SMAケーブルのセットがUS$3.99で販売されている。IPX-SMAが意外と高いのでこの価格は妥当かと思う。ROCK Pi Sのケースの写真はWi-Fiアンテナが写っているので付属していると勘違いするかもなので注意。「ケース」という商品はあくまでケースだけでWi-Fiアンテナは付属しない。

Rock Pi S 11
OS入りのmicroSDカードを挿してLANと電源用USB Type-Cのケーブルを接続すると起動する。写真では判らないかもだけど青いLEDがどぎつく眩しい。このLEDはちょっと勘弁して欲しいかな。上の画像ではMIC ARRAYと書かれた上の穴から青いのが見えているが、何かのハットが付いていたらここからは光がモレないかも。本来は中央のWi-Fiアンテナ端子用(の穴)の下にある「ACT」の小さい丸穴が青LED用の穴みたい。その左隣に電源のインジケータとして「PWR」の丸穴があってそちらは緑のLEDだがそれは全然目立たない。光もキツくない。上の画像でもACTの左下にPWRの丸穴が写っているが、緑がかき消されて青く光ってるように見えている。(正面からだと緑に見える)

ROCK Pi SでUNIX BENCH

$ cpufreq-info -s
408000:45826, 600000:363, 816000:35, 1008000:158, 1200000:70, 1296000:6563  (144)
$ ./Run -c 1 -c 4

========================================================================
   BYTE UNIX Benchmarks (Version 5.1.3)

   System: rockpi-s: GNU/Linux
   OS: GNU/Linux -- 4.4.247-rockpis -- #11 SMP PREEMPT Sun Feb 14 22:51:47 CET 2021
   Machine: aarch64 (unknown)
   Language: en_US.utf8 (charmap="UTF-8", collate="UTF-8")
   15:00:39 up 9 min,  1 user,  load average: 0.22, 0.11, 0.08; runlevel 5

------------------------------------------------------------------------
Benchmark Run: Mon Mar 08 2021 15:00:39 - 15:28:42
0 CPUs in system; running 1 parallel copy of tests

Dhrystone 2 using register variables        5065729.5 lps   (10.0 s, 7 samples)
Double-Precision Whetstone                     1311.5 MWIPS (9.7 s, 7 samples)
Execl Throughput                                684.0 lps   (29.9 s, 2 samples)
File Copy 1024 bufsize 2000 maxblocks        141067.4 KBps  (30.0 s, 2 samples)
File Copy 256 bufsize 500 maxblocks           41527.0 KBps  (30.0 s, 2 samples)
File Copy 4096 bufsize 8000 maxblocks        325098.1 KBps  (30.0 s, 2 samples)
Pipe Throughput                              396605.3 lps   (10.0 s, 7 samples)
Pipe-based Context Switching                  49805.8 lps   (10.0 s, 7 samples)
Process Creation                               1946.3 lps   (30.0 s, 2 samples)
Shell Scripts (1 concurrent)                   1330.8 lpm   (60.0 s, 2 samples)
Shell Scripts (8 concurrent)                    449.7 lpm   (60.1 s, 2 samples)
System Call Overhead                         636397.3 lps   (10.0 s, 7 samples)

System Benchmarks Index Values               BASELINE       RESULT    INDEX
Dhrystone 2 using register variables         116700.0    5065729.5    434.1
Double-Precision Whetstone                       55.0       1311.5    238.5
Execl Throughput                                 43.0        684.0    159.1
File Copy 1024 bufsize 2000 maxblocks          3960.0     141067.4    356.2
File Copy 256 bufsize 500 maxblocks            1655.0      41527.0    250.9
File Copy 4096 bufsize 8000 maxblocks          5800.0     325098.1    560.5
Pipe Throughput                               12440.0     396605.3    318.8
Pipe-based Context Switching                   4000.0      49805.8    124.5
Process Creation                                126.0       1946.3    154.5
Shell Scripts (1 concurrent)                     42.4       1330.8    313.9
Shell Scripts (8 concurrent)                      6.0        449.7    749.5
System Call Overhead                          15000.0     636397.3    424.3
                                                                   ========
System Benchmarks Index Score                                         298.7

------------------------------------------------------------------------
Benchmark Run: Mon Mar 08 2021 15:28:42 - 15:56:55
0 CPUs in system; running 4 parallel copies of tests

Dhrystone 2 using register variables       20245021.9 lps   (10.0 s, 7 samples)
Double-Precision Whetstone                     5247.3 MWIPS (9.7 s, 7 samples)
Execl Throughput                               2028.7 lps   (29.9 s, 2 samples)
File Copy 1024 bufsize 2000 maxblocks        225129.0 KBps  (30.0 s, 2 samples)
File Copy 256 bufsize 500 maxblocks           61434.0 KBps  (30.0 s, 2 samples)
File Copy 4096 bufsize 8000 maxblocks        592134.7 KBps  (30.0 s, 2 samples)
Pipe Throughput                             1560579.4 lps   (10.0 s, 7 samples)
Pipe-based Context Switching                 229681.6 lps   (10.0 s, 7 samples)
Process Creation                               4016.2 lps   (30.0 s, 2 samples)
Shell Scripts (1 concurrent)                   3672.6 lpm   (60.0 s, 2 samples)
Shell Scripts (8 concurrent)                    496.8 lpm   (60.3 s, 2 samples)
System Call Overhead                        2458935.9 lps   (10.0 s, 7 samples)

System Benchmarks Index Values               BASELINE       RESULT    INDEX
Dhrystone 2 using register variables         116700.0   20245021.9   1734.8
Double-Precision Whetstone                       55.0       5247.3    954.1
Execl Throughput                                 43.0       2028.7    471.8
File Copy 1024 bufsize 2000 maxblocks          3960.0     225129.0    568.5
File Copy 256 bufsize 500 maxblocks            1655.0      61434.0    371.2
File Copy 4096 bufsize 8000 maxblocks          5800.0     592134.7   1020.9
Pipe Throughput                               12440.0    1560579.4   1254.5
Pipe-based Context Switching                   4000.0     229681.6    574.2
Process Creation                                126.0       4016.2    318.7
Shell Scripts (1 concurrent)                     42.4       3672.6    866.2
Shell Scripts (8 concurrent)                      6.0        496.8    828.1
System Call Overhead                          15000.0    2458935.9   1639.3
                                                                   ========
System Benchmarks Index Score                                         772.9

$ cpufreq-info -s
408000:70067, 600000:1689, 816000:35, 1008000:158, 1200000:70, 1296000:325078  (580)

使っているOSはArmbian 21.02.2 Buster with Linux 4.4.247-rockpisというもの。
今回はClass2のクソ遅いmicroSDカードを使っているのでファイルコピーなどの性能が低く計測されている可能性があるので念の為。
1.3GHzが最高クロックの状態で測定してシングル・4パラレルの両方でRockchip RK3328のNanoPi NEO3 (1.3GHz)のおよそ90%というインデックススコア。意外と良い値。これで温度が上がらないならRK3308は良いチップかも。