壊れたデスクをイレクターで蘇らせる

何年か前に通販で超安物のデスク(机)を買ったのだがデスクの天板から生える脚の取り付けが全然強度のなさそうなチョンチョン溶接だった。デスクというのは結構揺れるので暫く使うとこんな溶接は取れてしまいそうというのは組み立てた時に判っていて心配していたのだが、最近になってデスクが壁に寄りかかることでかろうじて立っている状態で今にも倒壊しそうなことに気付いた。調べてみたらデスクの4本の脚の内2本が完全に溶接部分が取れた(あるいは切れた)状態。

イレクターで丈夫な家具作り
これが溶接の取れたデスクの脚。この写真の角パイプがデスクの天板のウラ面の鉄枠と溶接されていた。画像の角パイプは1辺が25mmの細いもの(しかもペラペラ)で画像とおり溶接跡は3箇所。4本の脚が全てこの溶接方法なのでこれがメーカーで定められた方法らしい。
壁に寄りかかりながらもかろうじて崩壊を免れていたのは2本の脚の溶接(大)がつながっていたから。しかし、その2本も溶接(小)は全て取れた(あるいは切れた)状態でデスクを自力で真っ直ぐ立たせることはできない状態だった。

今回はイレクターを使ってこのデスクを復活させることに。

イレクターの利点
  • 小物を作る程度ならまぁまぁ安い
  • 簡単
  • 軽い
  • (ホームセンター等で)入手が容易
  • 素人でも精度高めで作れる(誤差1〜3mm程度)
  • 力が要らない
  • 丈夫
イレクターの欠点
  • パイプカッターが必要 (1,000円程度〜)
  • イレクター専用接着剤が(絶対に)必要 (500円程度〜)
  • イレクター専用接着剤がベラボーに臭い+危ない
  • ↑故に屋外での作業場所が必要
  • 分解できないので不要になったら破壊するしかない
  • 使用するジョイントが増えると高額化
  • 重量物を載せるには強度面で心配

この記事で写っているパイプカッターとは異なります。

イレクターで丈夫な家具作り 1
一番右はパイプカッター、その左のパイプがイレクター(を30cmに切断したもの)、その奥側がイレクター用の接着剤と付属のスポイド、左の山盛りになっているのがジョイントたくさん。
イレクターはパイプカッターで好きな長さで簡単に正確に切断できます。これには力は要りませんが手間はかかります。パイプカッターを持っていなければ1,000円程度〜の追加出費が必要です。(イレクターの切断なら上の画像のような柄の短い安物で十分です。)
イレクターは必ず専用の接着剤を使ってパイプの表層の樹脂とジョイントの樹脂を融着させます。張り合わせるのではなく溶けて一体となるので一度接着すると破壊以外に取り除く方法はありません。パイプとジョイントはネジや留具が無いため接着剤無しだとスポスポで全く固定できません。貼り合わせタイプの普通の接着剤は強度が出ないため代用するべきではありません。専用接着剤で融着することで初めて強度が出ます。

イレクターで丈夫な家具作り 2
イレクターのパイプは内側が金属で外側が樹脂で出来ています。このため同じ厚さの金属パイプよりは圧倒的に軽く、それなりの強度があります。もちろん同じ厚さの金属パイプには劣ります。金属が薄い分価格も抑えられています。また切断も簡単です。

イレクターで丈夫な家具作り 3
パイプカッターは丸いカッター刃をパイプに垂直に押し当ててパイプを回転(実際はパイプカッター側を回転)させることでジワジワと切断します。カッター刃は丈夫そうにはとても見えませんが金属パイプも切断できます。(金属対応のものを購入してください)
写真のパイプカッターは既に何度も使っているものなので汚くてスミマセン。

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パイプをローラーに載せてガタつきがないようにセットするとパイプカッターがパイプに垂直です。その状態でパイプカッターのダイヤルを回してカッター刃をパイプに当たるようにします。パイプに付けた印にカッター刃の縁が当たれば精度の高い切断が可能です。パイプを固定してパイプカッターを全体をパイプを中心にグルリと回すとカッター刃がパイプに筋を付けます。1周以上回った状態で筋が1本だけ、同じ場所を刃が通るなら正常に切断できます。パイプが斜めだとカッター刃の筋が螺旋状にどんどんズレていきます。これはNGなので最初からやり直しです。パイプカッターをグルグル回して軽くなったらダイヤルを少し回してカッター刃を押し出します。パイプカッターが動かなくなるほど強く押し出してはいけません。適度な力でパイプカッターを回せる程度。
パイプカッターを回して軽くなったらダイヤルを少し回してカッター刃を少し押し出す。根気よくこれの繰り返し。
イレクターは表層が樹脂なので最初はサクサク切れるが内側の金属を切るときは少し切れが悪く感じます。切断方法は樹脂でも金属でも変わらず。

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イレクターには専用のジョイントが用意されていて種類が豊富です。角部分に接合用ジョイントが必要であることは子供でも判るでしょうが、接合ジョイントだけでは強度に不安があります。かならず「筋交い」(すじかい)を考えに入れておきましょう。イレクター用には23度,45度, 67度, 角度フリーの筋交い用ジョイントが用意されているので難しくはない筈です。また、筋交い用ジョイントはパイプの横からはめ込みができるので先に箱を作ってから後から筋交いを追加できます。筋交いはハメただけでは強度が全く高まらないので必ず接着してください。
この画像の筋交いはこれで長さが30cmです。2方向に筋交いを出しています。今回は、もう1方向は机の天板にある枠で抑えられて歪みが発生しないので筋交い無しです。

イレクターで丈夫な家具作り 5a
本来はこのように全ての方向に筋交いを付けます。1つ前の写真では黄色の筋交いがあってピンクの筋交いがありません。

イレクターで丈夫な家具作り 5b
2方向に筋交いを出せるジョイントを3つ使うとこの画像のように筋交いを作ることができます。ただし、実際にこれをやろうとするとかなり苦労することになります。(不可能ではありません)

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デスクの天板のすぐ下あたり。
デスクの天板のウラ面に元々の金属枠があってその内側ピッタリのサイズでイレクターで箱を作って天板を載せています。人が座る側には大きな筋交いを取り付けると邪魔なのでジョイントに隣接する超小型の筋交いを付けていますが、デスクサイズの大きな箱でこの超小型筋交いは気休め以外の何物でもありません。逆に小さな箱で軽いモノを載せる程度であればこの超小型の筋交いでも十分です。はめ込んだだけでは全く強度が付与されないので専用接着剤で接着が必須です。

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イレクター用の「脚」は数種類ほど販売されているようですが意外と高価です。今回のデスクの脚は「円」型にはせずL型ジョイントを使用して「ロ」型にしています。
また、T型ジョイントを使用して別方向につないでいます。

イレクター専用接着剤はパイプの表面とジョイントを溶かして一体化させるもので、専用スポイドで組み立てた状態のジョイントとパイプの隙間に流し込みます。接着剤を塗ってからはめ込むのではありません。必要以上に荷重のかかった状態で接着剤を流し込むと「溶けて沈む」かもしれないので注意しましょう。
接着剤を使う前に、「作った箱」に歪みがないよう、ジョイントの奥までパイプが刺さっているかなど確認し、接着剤を流し込んだら12時間〜24時間ほどは重いものを載せたり力をかけたりせず放置します。完全に固まると、デスクサイズ以下の箱なら普通に揺らそうと力をかけてもビクともしないほどしっかりした箱が完成します。パイプが細く強度が低いためデスクサイズ以上の箱だと人が乗るのは危なそうです。みかん箱サイズ以下なら天板が丈夫であれば人が乗っても大丈夫かもしれません。

とはいえ、人が乗るものを作るなら工事現場などでよく使われる48.6mmの単管パイプとそれ用の金属ジョイントを使うのが良さそうです。イレクターで作成するよりコストも重量も跳ね上がりオシャレさの欠片もありませんが強度が全く違います。

2021年7月14日 記事タイトル変更:
「イレクターで壊れたデスクを蘇らせる」 → 「壊れたデスクをイレクターで蘇らせる」

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